10代20代でもすでに歯を失った人もいます。
事故や虫歯、根の治療の後で膿んでしまった、などなど様々な理由や事情があることと推察します。"なぜ若くして歯を失ったのか?"ここでは虫歯にフォーカスして大きく2つの側面から考察したいと思います。
歯を大事にする習慣がない
若くても、自分の歯をしっかりとメインテナンスしないと虫歯や歯周病が進行します。
特に虫歯は若い時の方が進行がは早いことが知られています。
メインテナンスは歯医者さんでの「プロフェッショナルケア」と毎日の「セルフケア」が必要
「虫歯がなくても歯医者さんに行ってクリーニング(プロフェッショナルケア)を受けましょう」この意識はこの20年あまりでずいぶん浸透してきたように思います。
一方で自分の健康に関心がない、歯は治せばどうにかなる、忙しくて歯にかまっている余裕がないという方も一定数います。
学生時代~20代は学校やクラブ活動、仕事など忙しく、歯医者さんに定期的に通うというのは難しい側面もあるでしょう。しかしながら、歯医者さんに行くことだけがメインテナンスではありません。
プロフェッショナルケアは歯医者さんでのクリーニング
私たちの歯と歯並びはとても複雑な形をしていますし、簡単には見えません。手探りで歯磨きをすることになります。これは人によって得手不得手があって当然です。右利き左利きでも磨き易い場所、磨きにくい場所が変わります。磨く癖もあります。
私たちは磨けないことにフォーカスするのではありません。100%磨けない歯をどうやって健康に保つかを考えています。
歯磨きやデンタルフロス、歯間ブラシで磨き方の確認をすることはもちろんですが、磨けない部分を歯科医院でお手伝いして磨くことで虫歯や歯周病の発生を抑えていきます。3~4ヶ月に1度の定期的なチェックとクリーニングが必要と考えています。
セルフケアは歯磨き、唾液、シュガーコントロール
セルフケアといわれる毎日の歯磨き(ブラッシング)、デンタルフロスという糸で歯と歯の間を清掃するフロッシングはもちろんですが、食事や間食の中での食生活から虫歯予防を生活習慣化することが大切です。
唾液は虫歯予防に大きなウエイトを占めています。唾液が少ない人は虫歯になりやすいです。寝不足やお酒の飲みすぎ、しょっぱいものの食べ過ぎ、緊張が続くなどは唾液量が減ります。お口をぽかんと開けている人は前歯が乾燥して唾液が回りませんので前歯が虫歯になります。
お砂糖は歯垢を作る虫歯菌の最も好きなエサです。ジュースでもスイーツでも溢れかえっている日常ですが、ある程度コントロールしないとお砂糖は摂りすぎることになります。(シュガーコントロール)若いうちは代謝も高いため、太ることも少ないかもしれませんが、虫歯は問題になります。ジュースならいいと思っても、お口の中が常に酸性になるため、歯が溶け続けて虫歯が進みます。スイーツやお菓子は週末のご褒美くらいにしてみてはいかがでしょうか。
若いうちは比較的虫歯が進みやすい
永久歯は生えてきたてが最も虫歯になりやすく、次第に硬く、虫歯になりにくくなてきます。そうはいっても10代20代はまだまだ虫歯になりやすい可能性が十分にある期間です。
ケアを怠ってシュガーコントロールもままならなければ、知らない間に生えてきた手の歯と違い、汚れが残りやすい歯と歯の間から発生しますので虫歯に気が付きにくいのです。若いうちは虫歯の進行も早いですが痛みも出やすいといえます。この痛みを放置してしまうと、虫歯は見えないところで進行していきます。神経を抜く必要があるまで放置されることもあります
治療が中断され歯の寿命が縮まる
若い方は仕事が忙しく、時間も自分の融通が効きにくいため予約をとって歯医者さんに通院することが難しいことが多いです。保険診療では1度の診察時間が短く治療が遅々として進まないため、通院をやめてしまうこともあります。
痛みがあって神経を取る→痛みがなくなる→放置→さらに虫歯が進む→根の中が虫歯菌で満たされ根の先に膿が溜まって骨が溶ける→虫歯が進行して根が腐ってしまって抜歯になるか、根の先の骨が大きく溶けてやはり抜歯になる
こういった悪循環を経て若くても抜歯に至ります。歯を抜いた状態のままにしておくと、両隣や噛み合っていた歯が移動してしまい噛み合わせも崩れてきます。歯並びは崩れ、次の虫歯や歯周病のリスクをさらに高めることになっていきます。
歯医者さんが怖い歯科恐怖症が理由
医療トラウマの中に歯科治療へのトラウマもあります。歯科恐怖症は様々な心的理由で精神的、身体的に治療が困難な状態にあることをいいます。幼少期の歯科治療での怖い思いをした場合が多いですが、本人だけとは限りません。兄弟や友人、親の体験を見聞きしてしまう場合もあります。
歯医者が怖い!歯科恐怖症でも治療が出来るようになる8つの方法
メインテナンスに行かない。
歯科恐怖症といっても様々な状態があります。歯医者さんのことを考えただけでも動悸がして具合が悪くなる人もいれば、脂汗をかきながらでも治療はできる人などです。ただ一般的には歯医者さんを避ける意識が強いため、定期的なクリーニングも頻度は減ります。タイプによっては「歯医者が怖くて行きたくないから必死で歯を磨く」という方も多いですが、ブラッシングそのものをしっかりと教わった経験がなく、歯磨きの癖で磨き残しから虫歯になっていることがあります。
怖くて治療に行くことができない
歯科恐怖症の場合はここが難しいところです。少しの痛みで早期に治すことができれば1度の治療で終わるところが、虫歯を放置すれば治療も長く大がかりになってしまいます。元々が怖いので長く続けることは非常に辛くストレスのかかる状態です。
歯科恐怖症を緩和する一般的に「怖い」場合には「我慢する」ことを教わります。これは歯科恐怖症の方には解決になりません。
実は逆が正解です。「怖いを感じてもいい」と受け入れます。歯医者さんから言うべきですし、患者さん自身でもできます。怖さを我慢すればするほど怖くなります。怖さを感じてあげると、怖さは少なくなっていきます。
歯科恐怖症を薬でコントロールする
患者さん自身がコントロールできないので、内服薬(精神安定剤)や筋肉注射や点滴での安定剤の投与を行ってリラックスした情態で治療を行います。ただし、一般的な歯科の治療での保険適応はありません。
歯科恐怖症を治す
歯科恐怖症になった理由があります。赤ん坊のころから歯科恐怖症という人はいません。多くは歯科治療などがきっかけであり、親やテレビなどから「歯医者は怖い」と植え付けられたものもあります。治療が快適なものではないことは事実ですが、過剰に怖い場合はメンタルのアプローチが効果的です。当院で紹介するカウンセリングは歯科恐怖症の原因から解決しますので、治ればそれ以上通う必要はありませんし数回のカウンセリングで多くの人は解決しています。
まとめ
「健康は失って初めてその大切さに気づく」といいますが、若いうちは歯の大切さに気づく人はまだまだ少ないようです。親世代の歯に対しての価値観が低いと当然子供も低くなります。年を取れば歯を失っていいわけではないのですが、若いうちから失っている場合は人生の後半で歯で苦労することになります。ぜひこれを機会に自分の歯と向き合って、1つずつ解決してほしいと思います。