歯医者がどうしても苦手な人は少なくありません。
「歯医者に行かないとマズいのはわかっているが、怖くていけない。」
「また、あの音と振動は嫌だ。先生は忙しそうであまり説明してくれないから、歯医者はなんとなく怖い。」
このように感じている方が多いのではないでしょうか?歯医者に行かず、虫歯や噛み合わせをそのまま放置してしまえば、虫歯はどんどん広がっていきますし、かみ合わせも少しずつズレていきます。虫歯は比較的シンプルな治療ですが、ズレてしまったかみ合わせを戻すのはとても困難な治療なのです。
当院では、たくさんの歯科恐怖症の患者様がお問い合わせ、もしくはご来院されます。そのご来院のきっかけは、このホームページや既存の患者様からの口コミとご紹介です。それだけ私たちの周辺には、歯医者が怖いと思っている人が多くいらっしゃっり、いい歯医者がないかと情報を収集している方がとても多いのだと思います。
以前は、虫歯や歯痛など困った時だけ駆けこむのが歯医者さんでした。
しかし、現在では歯を大切にすることで、毎日の食事を美味し食べたい、しっかりと噛むことでいつまでも健康でいたいと思う方が増えています。みなさんも健康的な歯で美味しい食事をずっとしていきたいのではないでしょうか?
歯を健康に保つためには、年に3~4回程度にメインテナンスを歯医者さんで行うことが重要です。
ここでは、歯医者さんが怖い方でも通院や治療が出来るようになるための方法を紹介します。
歯科恐怖症とは
歯医者が怖い!と思ったことがある人はほとんどだと思います。アニメなど子供向けの番組では、歯医者に行くことが罰ゲームのような描写が目立ちます。親から「歯を磨かないと歯医者さんで注射して歯を削られるよ!」と脅かされた事があるのかもしれません。実際に体験していなくても辛い思い出や恐怖の描写により刷り込みが起こり、歯医者が苦手になることは少なくありません。
誰しも苦手意識があったり、多少は怖いものです。それは何も特別なことではありません。中にはその気持ちが強く心や体調に強く影響が出るす方もいらっしゃいます。この場合を歯科恐怖症と呼んでいます。
歯医者の事を考えると不安やネガティブな気持ちなどが起き、動悸や冷や汗を引き起こします。また、歯の治療時に過度の緊張や不安から、動悸や冷や汗に加えて、貧血など身体に症状が出る場合があります。歯科医院に行くことすら出来ない人もいれば、我慢してなんとか治療を受けることが出来る方まで程度はさまざまです。
よくある歯医者が怖くなった原因とは?
世の中には恐怖症と呼ばれるものはたくさんあります。高所恐怖症、閉所恐怖症、男性恐怖症、などなど。しかしこれらの恐怖心は、生まれ持ったものではありません。
- 実際に歯医者で怖い体験をした。
- 怖い体験をしたことを誰かが教えた。
幼少期の歯医者さんの体験
まだ幼いころに親に連れられて行った歯医者さんでの体験によるケースが非常に多いです。
独特の匂い、キーンという音、麻酔の痛みや、歯の痛み、マスクをしたまま話す無表情な先生やスタッフなど、重なりあって心に怖い感情が焼き付きます。
歯医者さんによっては、歯磨きが雑だった時に怒り出す方もいらっしゃいます。幼少期で経験したことで、「歯医者は全員こんな人」と刷り込まれているケースもあります。
親や周りから怖いと教えられた
小さな頃にご両親からこのようなことを言われたことがある方に、歯科恐怖症になる方が多いです。まるで歯医者に通うことが罰ゲームのような扱いで教育されています。
似たようなものに「風邪を引くとお注射」というものがありますが、歯医者さんは特別のようです。
また、テレビアニメや映画アニメの中でも歯医者さんは怖いところとして描かれています。子どもは良いことも悪いことも鵜呑みにして育ちます。
親や祖父母が歯科治療で苦労しているのを見た
子どもは親や同居している家族からなんでも学びます。
「歯が痛くてイライラしている」「総入れ歯が合わないから別のおかずを作る」「部分入れ歯が洗面所にある」など。
子どもながらに歯医者さんに通うことは、怖くてストレスを感じることなのだと感じるのです。
大きくなってからの歯医者さんでの体験
幼少期だけがトラウマではありません。説明もなく歯を削られた、痛みがあると訴えても我慢してと言われたなど、生まれて初めてこんなに怖い思いをした、という声をよく伺います。歯科に限らず、医療現場での精神的なトラウマは問題になっています。
マスメディアの影響
今は減りましたが、医療系のテレビ番組が多い時がありました。その時に、インプラントの治療の失敗なども頻繁に取り上げられていました。視聴率を取るためとはいえ、恐怖を煽る演出で、興味はあったけれど、やめておこうと思った方も多かったのではないでしょうか?そして、失敗したらどうしようと頭によぎってしまったこともあったのではないでしょうか?
歯科恐怖症の程度はどれくらい?
では、歯医者が怖い人が治療を受けられる、または今よりも楽に治療を受けられるにはどうしたらいいのでしょうか。まずは、自分がどの程度、歯医者さんが怖いのかチェックしてみましょう。
- 歯医者での治療を受ける場面は嫌だし怖いけど想像できる
- 歯医者での治療を想像するだけで気分が悪くなる、冷や汗や動悸がする。そもそも歯医者に行けそうにない。
あなたはどの程度でしょう。
歯医者が怖い人でも治療を安心して受けれるようになるためには
当院では歯科恐怖症の方が多く、様々なアプローチを行っています。どれか一つで解決するというよりも、その方に合う方法がいくつかあります。
重要なことは自分一人の考えに囚われず、多様な考えを取り入れることです。
歯医者にちゃんと伝えるためにメモやノートにまとめる
恐怖心がなくても、自分の口の中の事を適確に伝えるのは難しいものです。伝えたくても伝えることができないというケースです。
歯医者さんに行く前に自分で口の中のこと、何が怖いのか、どうして欲しいのか、な ど簡潔にまとめてみましょう。
コピーをとって渡すと歯医者さんも書く手間が省けてその分、細かいところまで理解してくれるでしょう。限られた時間の中でコミュニケーションを取るにはとても良い方法です。相手に望むばかりではなく、自分で出来ることをするのも大事なことです。そして受け取る歯医者さんはあなたのことを早く理解してくれるでしょう。
もしも、メモまで渡すなんて、こんな厄介な自分は診てもらえないんじゃないかと思うなら、あなたは自分の事を大事にできていないかもしれません。
我慢しないでしっかり話す。
歯医者が怖い方で多いタイプは、「先生に聞きたい、忙しそうで聞けなかった」「痛かったので手を挙げたけれど、我慢してと言われて泣きながら我慢した。」など、自分を犠牲にしてしまう方です。
もちろん、質問にオープンスタンスで聴こうとしない歯医者さんや、我慢を強いる歯医者さんがよくないのはもちろんですが、現実では自分の歯がどんどん削られていくのです。自分の心と身体を守るために、はっきりと言いたいことを言いましょう。
止めて欲しい時は「止めてください」と言いましょう。口を開けているから言えなかったと言われますが、どこかで我慢して、諦めています。言ったら気まずくなるんじゃないかという方もいます。
自分の心と身体を犠牲にしてまで関係を壊したくないほどの歯医者さんでしょうか。歯医者と患者さんの間柄は、治療する人と治療を受ける人です。
痛みのない麻酔と治療
痛みを感じないことは、歯医者が怖い人が治療を受けるためには、絶対に必要な条件です。
神経がない歯は痛くないから麻酔をしない、という歯医者さんはNGです。「振動や、いつ痛くなるかわからないあの不安を我慢しなさい。」と言っているからです。安心して治療を受けるために麻酔は必要です。麻酔が嫌がられるのは麻酔自体が痛いと思われているからです。
塗る麻酔薬を使って、極細針でゆっくりと、呼吸を見ながら進めていく麻酔はほぼ無痛でできます。当院ではほとんどの治療で麻酔を使っています。
精密な歯科治療に対応している歯科医を選択する。
当たり前ですが、治療技術が低い歯医者さんですと、不要な傷ができたり、術後の腫れや痛みが強く出たりと、さらに歯医者が怖くなるようになってしまいます。
勘や経験を頼りに裸眼で治療をする歯医者さんが多いですが、以下の写真をご覧になってください。原因が小さな虫歯であれば、裸眼で的確に捉えることは困難です。つまり、大きく削ってしまうことにつながります。
拡大鏡や顕微鏡を使った精密な治療は、組織の傷を少なくし、痛みや腫れは必要最低限に抑えられます。
東京近隣の歯科医では、拡大鏡を使って治療することが普通になっています。しかし、倍率はそこまで高くはありません。当院の場合は、通常の拡大鏡よりも高倍率にして、無駄な削りを行わないように工夫しています。
リラックスする話し方
わかりやすい説明はもちろんですが、お話をする中の言葉の使い方次第で、怖さは増えることもあれば、安心させることもできます。
不安で怖がっている人に「怖いですか?安心してください」という声がけは返って怖さを増やします。子どもに「痛くないお注射しようね~」というのと同じです。注射は痛いと宣言しているようなものです。
これは一例ですが、心理学をベースにした話し方や声がけを行うことで、リラックスしていただくことも通常の診療の中で何気なく行えることの積み増さねが不安を和らげていきます。
精神安定剤を内服する
弱めの安定剤を治療の前に内服することでリラックスして治療を受けることが出来ます。
通常、安定剤は筋弛緩効果があるので、噛む筋肉を緩めるために処方します。この薬は常習性もなく、安全に使えます。ただし、自由診療でなければ処方することができません。
心理カウンセリングを受ける
幼い頃、大人になってからのトラウマ的な出来事は自分で解決できません。
日本では克服するという言葉が好まれますが、心に傷を負っている方に克服する努力を強いるのは傷に塩を擦りこむようなものです。
カウンセリングは克服のための手段ではありません。恐怖を手放すためのプロセスです。
カウンセリングを受けることはなんら特別なことではありません。この先、ずっと恐怖を抱えて生きていくのと、手放して自由を手にいれて生きていくのと、どちらを選ぶかです。
また、「我慢しない」が出来ない方。自分を犠牲にしてまで歯医者さんとの関係性を壊したくない方は心理カウンセリングをご提案します。無意識の心の癖を治すことができるのは、薬でも気合いでもなく、心理カウンセリングです。
静脈内鎮静法や笑気ガスを応用する
静脈内鎮静法はインプラントや骨移植術の手術の時に使います。麻酔医が点滴からお薬を入れます。術中は半分眠っていますので、あっという間に終わったような感じがします。
欠点としては、毎回の費用、術後の回復時間が必要なことなどがあり、大きな手術など限られた場面での応用と考えてください。
笑気はもう少し気軽に行えるもので、痛みを抑える効果もあります。ガスを使いますので医院によって準備があるないがあります。
歯医者さんが怖い人が治療が出来るようになる歯医者さん選び
一番の対処方法は歯医者さん選びを間違わないことです。現実的には、収集できる情報が限られているために判断することが大変困難ですが、特に以下の5つのポイントに注目すると良いでしょう。
自分の話をよく聴いてくれる
話を聴いてくれるのはコミュニケーションの基本です。
説明なしにいきなり削られた、話を聞いてくれない、忙しくしていて聞くタイミングすらない、話をしても途中で遮られて否定される、説明をしているカウンセラーと担当の歯医者さんで行っていることがあべこべなど、自分の話を聞いてくれないことに悩みを抱えていることはありませんか?
本当にしっかりと話を聴いてくれる歯科医院が望ましいでしょう。
歯医者さんやスタッフの説明がわかりやすい
「説明と同意」が必要と言われて久しいですが、先生の説明は専門用語が多く、患者さんは理解出来ないことが多いようです。難しい話を難しく話すのは簡単です。歯医者さんやスタッフの説明がわかりやすいのは、普段から患者さんに伝わって欲しいと努力している証拠になります。
いきなり治療に入らず、検査や説明で予約を取ってくれる
歯医者さんでは検査と話も治療台に座って行うことが多いです。言ってみればいきなり怖い手術室で説明を受けているようなものです。きちんとした医院では、治療を始める前にカウンセリングルームなどで説明をしてくれます。カウンセリングルームの有無を確認するといいかもしれません。
ホームページを過信しない
歯医者さんのHPは情報発信であるとともに、広告の役割もしています。例えば、口コミが短期間で書かれていて、最近の口コミがない場合は、不自然です。ホームページでは、「しっかりとお話を聴いて・・・」と書いてあっても実際は違うというのはよくあることです。
実際に雰囲気を見に行ったり、電話で上記のような事をしてくれるか確認したりと、事前に出来ることは行いましょう。
リラックスできる個室の診療室であるか?
怖い人にとって、後ろで走っている音が聞こえたり、すぐ隣で歯を削っている人の顔が見えそうな環境は恐怖心を煽ります。
歯科特有のホルマリンの臭いや座った目の前に無造作に置かれた削る器材などもあってはならないものです。プライバシーを守ると同時に、安心安全を感じる個室は最低条件といえます。
まとめ
当院では上記以外にも様々な工夫を施して、歯科恐怖症の不安を和らげるように務めています。
来院できない方のために、メール相談でカウンセラーの紹介も行っています。心理カウンセリングを先行して受けたい方も遠慮せずにご相談ください。
歯は毎日の食事に欠かせない大切な臓器です。歯科恐怖症のようなハードルはできる限り先送りせずに超えた方が幸せかと思います。