歯医者さんで自分の痛みや状況を伝える正しい方法とは?
当院にお見えになる患者さんは皆さん、今までの歯科治療に不満を抱いています。その中でも最も多い不満はコミュニケーションにまつわるものです。
1.患者さんから伺うコミュニケーションの不満
1-1こちらの話を聞いてくれない
患者さんとしてはきちんと説明したいのに、最後まで話を聞いてくれない、あるいは話す前に椅子が倒されて口を開けて、治療が始まってしまう、といったことです。患者さんにとっては、専門的な事はわからないから、自分が上手く伝えられないから仕方がないのか、という思いもあります。中には話を聞いてくれると思ったのに、直ぐに遮られて、質問され、「ああ、わかりました」と治療に入ってしまうケースも多いようです。
1-2事前に説明してくれない(インフォームドコンセントが足りない)
歯医者さんで座る椅子は診療台がほとんどです。椅子が倒れてしまえば、まな板の鯉のようなもの。最近では全く説明しない、ということはないようですが途中までは聞いていたけど、雲行きが怪しくなって、途中から違う治療になったのに説明がなかったケースや、説明が専門用語だけでさっぱりわからないという事もよく伺います。中でも一番多いのは費用の話です。書面で提出されるのはまだ良い方で、患者さんが口を開けている横で口頭で説明されたり、とても同意を得ているとは言いがたいケースもあります。初めの提示の費用から支払の時点では高くなっていることもしばしば。これも、訊くと、「ああ、それは予定が変わったから、虫歯が大きかったからね」という返答で、誠意が感じられないと。費用が変わる場合は、その時点で説明と同意が必要なのはいうまでも
1-3忙しそうにしていて訊けない
先生に訊きたいけど、他の患者さんと掛け持ちで、自分のところに来た時には、もう椅子が倒されて口を開けろと言われる。スタッフが代わりに説明してくれるケースも多いようですが、先生とスタッフで言うことが変わったり、受付とアシスタントの人と食い違ったりと。患者さんとしては、自分の身を任せるのですし、大きなお金を支払うのですから、先生にしっかりと説明をして欲しいと云われます。
1-4椅子の横や後ろから話しをしてくる(目をみて話さない)
歯医者さんでは座る椅子がすでに治療を行う椅子です。歯医者さんは横や後ろに回って治療を行うため、前に回って話をしない傾向があります。私は勤務医の時も前に回って目を見て話すことを心がけていました。もちろん保険診療です。結構な数の患者さんに、目見て説明してくれるのは先生が初めてだと、安心すると喜ばれました。大事な話をするのに、目を見て、対等なポジションで説明するのは必要です。この話をされる患者さんはたいてい怒っています。
1-5質問すると怒る
これは、かなりの頻度で伺います。専門用語ばかりの説明では患者さんは分からないですし、先生の説明と自分の症状と合っているか納得がいかない時もあります。ところが、質問をすると、「専門家に口を出すな」と言わんばかりに怒ったり、明らかに態度が変わる先生は多いようです。口に出さなくても、直ぐにわかります。
歯医者さんに自分の痛みや状況を上手く伝えるには?
2-1歯医者さん選びが最も重要
当たり前ですが、上記5つは歯医者さん自身の問題が多々あります。患者さんが専門用語を理解してから受診すべきでしょうか?いいえ、そんなことはありません。歯は削ったら戻ってこない大切な身体の一部なのに、説明もそこそこに、同意を得たとは言いがたくても治療を進めていいのでしょうか?いいえそんなことはありません。表面上の説明と同意は全く意味がありません。自分の今の状況や痛み、悩みなどを上手に伝えるには、コミュニケーションを取れる環境や姿勢がある歯医者さん選びが最も重要です。
2-2経緯をメモして持参する
私たち医療サイドが質問をするのは、5W1Hです。いつ、どこでだれが、どのように、どうして、どれくらい、などなど。たとえば歯痛だったら、多分、3か月前から(年明けからなど)冷たいものがしみるようになって、ここ1周間は何もしなくてもズキズキと、脈を打ったような痛みを日に数回感じます。熱いものはしみません。噛むのは避けていますから噛んだ時の痛みはわかりません。どの歯が痛いかがハッキリ分からず、上の歯か下の歯かもわかりません。といったような内容です。長い経過になればなるほどメモを必要です。そしてできたらタイプしたものを歯医者さんに渡しましょう。どこまでが有益な情報なのかは専門家でなければわかりません。まとめすぎず、記載しましょう。
2-3マナーをもって臨むこと
あなたが辛い想いをして、不自由を感じていること、歯医者さんで苦労したことはわかります。しかし、歯医者さんも限られた時間の中で多くの患者さんを診なければなりません。保険診療では時間に余裕が無いことは残念ながら事実です。自分の他にも困っている患者さんがいることを理解して、節度を持って歯医者さんとの時間に臨みましょう。歯医者さんも人ですから、礼儀正しい人には、十分な誠意を持って接してくれます。節度がないと、診てもらえないわけではありませんが、機械が診るわけではありませんし、感情的になると正しい説明も伝わらないですし、受け取れません。約束を取る時に、次回は説明だけにして、治療は次々回からにして欲しいなど、伝えておくのも良いと思います。
まとめ
歯科に限らず医科でも多くは患者さんを診るというより、病気しかみていない、診れない、そういう状況をよく伺いますし、経験します。お医者さん選びはとても難しいことですが、自分の身体を命を預けるのも事実です。普段からアンテナを張ってください。歯が痛くなってからではなく、メインテナンスに通うことでその医院の事もわかってきます。
こちらもどうぞ→歯医者が怖い人(歯科恐怖症)でも治療が出来るようになる8つの方法