実は歯のヒビは大人になれば多くの人の歯に認められるもので珍しいものではありません。また加齢とともに、その割合はどんどん増えていきます。
ではほとんどの人がヒビ由来の歯の痛みや知覚過敏を感じたり、歯が割れたりしているでしょうか?
そんなことはありません、歯にヒビが入っている事自体は顔の皺と同様自然なのです。
皆さんが鏡で見ているヒビは時間が経って色がついているものではないでしょうか。
顕微鏡で観察すると、歯の表面や内部にたくさんのヒビを見ることができます。近年、歯科界で手術用顕微鏡や拡大鏡の使用が広まってきたことで、今まで見えなかったヒビを観察することが可能になりました。患者さんに説明するのにヒビが入っているから痛いというのはわかりやすいですよね。
ヒビが良いというわけではありません。歯に力学的なストレスがかかり続ければ知覚過敏や歯髄炎、歯の破折といった深刻な状況を引き起こします。ヒビは噛み合わせの異常のサインの一つなのです。
治療が必要なヒビの状態とそうでないものとを後ほど解説します。
歯にヒビが入る原因は何か?
歯にヒビが入る原因は、食事だと思われがちです。実際、能動的に歯で噛むというのは、食事の時です。歯はカラダの中で最も硬い組織ですが、噛み合う相手もやはり硬い歯です。
しかし、通常の食事で使う場合は噛む力を自然とコントロールしています。お煎餅や硬いお肉などでも硬すぎればそれ以上無理をして噛みません。
こういった状況(咀嚼)では歯にかかる負担はさほど大きいとは考えられません。
噛み締め(食いしばり)や歯ぎしりの癖
人は無意識で噛み締め(食いしばり)たり歯ぎしりをしたりします。これが歯にヒビが入る一番考えられる原因になります。
これは無意識ですので、食事の時とは比べ物にならないくらいの強い力が持続的に歯に加わることになります。
この無意識の強大な力は歯に強いストレスを与えますので力が加わった部分や、内部で応力が溜まった結果、歯にヒビが生じます。
若年者でも前歯にヒビが入っているなら、この歯ぎしりや噛み締めの癖を疑います。
こういった毎日力のストレスがかかり続ける場合は縦にヒビが入ることが多いです。
外傷
転倒やものがぶつかったなどの外傷は一度に大きな力が歯に加わります。
破折に至る手前の状態がヒビとして認められます。
外傷の場合はそのぶつかった状況によりますが縦以外にも横にヒビが入ります。
不正咬合(噛み合わせ)
特定の歯に強く力がかかる不正咬合があります。
過蓋咬合は前歯の噛み込みが深く、噛み締めが出やすい噛み合わせです。
他にも上の歯の側切歯1本が下の歯より引っ込んでいる反対の噛み合わせの場合も同様です。
普段から噛み締めているので、前歯に力のストレスが強くかかり、ヒビの原因になります。
歯にヒビが入った場合に必要な処置とは?
歯のヒビの治療は、歯髄がある場合と歯髄がない場合に分けられます。
歯に神経(歯髄)がある場合
歯の神経がない場合
まとめ
歯にヒビが入ることは顔のシワと同様、自然なことですが噛み合わせの異常や不正咬合などから急速にヒビが進む場合は要注意です。
定期検診ではクリーニングだけでなく、自身の噛み癖や歯ぎしり噛み締めの有無などもチェックを受けてナイトガードの使用など、未然に歯を守ってください。