インプラントは長持ちしますか?
このご質問は本当によく伺います。インプラントも失敗に終わることがあります。
それは、
①歯周病を治さずにインプラント治療を行ったり、術後に清潔に保たずに歯周病になった場合。
②歯ぎしりや噛み締めなどの力のコントロールができていなかった場合、当初の設計に無理があった場合などです。
今回は、私が10年前に上下のインプラント治療を行った患者さんの結果をみてみたいと思います。まずは治療して2年ほどの写真です。
上は6本のインプラント、下は4本のインプラントで義歯を固定しています。
後先になりますが、下が治療前です。
上下ともに歯周病で大半の歯が失われていました。上は総入れ歯でず。下はまだ歯がありますが、歯周病で支えている骨がほとんどない状態でした。
インプラントを長持ちさせるメインテナンスとは?
1-1歯垢から守ること=インプラントの歯周病を防ぐこと
よくインプラントはしっかり掃除をしないとダメになると言います。本当でしょうか?もちろん、ブラッシングは必要ですが、それはご自身の歯とて同じです。ただ、インプラントは歯よりも細菌にたいする抵抗力が弱いのも事実です。そして歯を失った後に作りますので、決して磨きやすい環境とはいかない場合もあります。セルフケアは言うまでもなく、歯科医院でのプロのケアが必要です。(歯も同じです)この患者さんはセルフケアがうまくいかず、メインテナンスの間隔が空いた時期がありました。インプラントと義歯を繋ぐ部品を洗浄するために外してみると、やはり歯垢歯石が付いていました。
銀色の部品の上に茶色に付着しているのが歯垢歯石です。これも患者さんに見ておらい、セルフケアを見なおすきっかけにしてもらいました。昨年は部品のねじ切りが壊れてきたために交換を行いました。外した部品もとてもキレイです。
そして、その下のインプラントもとてもキレイな状態に保たれていました。青い色がインプラントの頭の部分です。
歯茎もピンク色でとても清潔に保たれています。
1-2歯ぎしりや噛み締め(食いしばり)にはマウスピース
この方は非常に歯ぎしりをする方でしたので、寝るときにはマウスピースを必ずつけています。
まとめ
10年は歯の治療でいうと、一区切りだと考えています。細かい修正や修理はあるものの、重度の歯周病であった患者さんが10年間、1本のインプラントも失わないどころか、歯茎が腫れたり膿んだりせずにここまでこれたのは、セルフケアとプロのケアの両輪が機能していたからだと思います。よく、インプラントを何本埋めました!という実績を謳う歯科医院がありますが、そこまで数多くの方のメインテナンスは本当に細やかなところまでできているのか?少し考えさせられます。インプラントははと同じように、いかに磨きやすく、いかに管理してゆくか、そのためにどういう治療をするかが大事です。歯と同じように早い、安いはうまくいきません。
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