心理カウンセラーの前田めぐみです。
院長の北川先生から、歯科恐怖症について、プロのカウンセラーの立場から記事を書いてほしいとご依頼を受け、拙筆ながら書かせていただきます。
「歯医者さんが怖い」という思いは子どもに限られたことではなく、 大人でも歯科治療に対する怖さや不安を抱えている方はたくさんいらっしゃいます。 大人だからと言って、 歯医者さんが怖いことが弱いことでも恥ずかしいことでもありません。
治療をしたくても歯科恐怖で歯医者さんに通えない方や、 思うように治療が進まずお困りの方などは、まずはこころのカウンセリングをして、 過剰な怖さや不安を取り除いてから治療を進めていく 選択肢もあります。
ラクな気持ちで治療ができるよう、こころのカウンセリングでは、まず、気持ちの面からじっくり丁寧にお話しを聴きいていきます。
歯科恐怖症と言ってもお一人おひとり症状は様々ですが、まずは歯科恐怖症の方が抱える主な3つの理由からお話しします。
1.過去の辛い治療体験から怖くなった
幼い頃に歯医者さんで無理やり押さえつけられた体験から、歯の治療が怖くなったという方はとても多くいらっしゃるようです。
幼い頃のその体験は、ものすごい恐怖体験として心に深く刻まれてしまうのは無理もないと思います。
治療の際にその恐怖体験がフラッシュバックして、 動悸が激しくなったり、過呼吸になったり 手足が震えて大量の汗をかいたりなどの反応を引き起こさなくなるよう、カウンセリングでは 安心で安全な環境の下で しっかりと人に守られ、保護されながらその恐怖を減らしていくセラピーを行っていきます。
その恐怖と向き合うことになるため、 初めはとても勇気がいることと思います。 カウンセリングはあなたのペースで無理なく進めていくので、不安や心配ごとは我慢することなく、そのままお話しください。
ひとつひとつクリアにしながら、丁寧に進めていきますので、どうぞご安心くださいませ。
2.痛くても我慢しなければいけない
治療中の痛みは我慢しなくちゃいけないし、痛いと訴えても「我慢して」と言われると、結局は我慢するしかない。
ここで、「これぐらいの痛みを我慢できない私がダメなんだ」、と自分を責めてしまうこともあります。
それによって痛みを訴えることができず我慢し続けた結果、痛みを伴い、怖い思いをしてしまうケースも多いようです。
このような場合も、カウンセリングを有効活用することが可能です。 痛みを我慢して、その痛みをグッと抑え込んでしまうと、 余計に痛みを強く感じてしまうことがあります。
カウンセリングでは、 本来感じて当たり前の感情を丁寧に引き出し、 その気持ちに寄り添いながら、 怖さや不快な気持ちをゆっくり消化していきます。
痛いのはイヤと思って良いし、 痛みを我慢しなければならない、 納得できない気持ちなどをゆっくり丁寧に吐き出していきます。
そうすると不思議なことに、 不快な気持ちはなくなるようにこころのしくみはできているようです。 その後、過剰な怖さや不安感がなくなったり、 激しい痛みは感じなくなることもよく耳にします。 不快な感情を吐き出せるようになると、今まで我慢して訴えられなかった痛みも 自然に伝えられるようになるかもしれません。
その結果、「痛くても我慢しなければならない」 という思い込みも解消されることが多いです。
3.完璧主義、こだわりが強いなどの性格傾向から影響がある場合
完璧主義で、こだわりが強い性格傾向がみられると、 歯科恐怖症を乗り越えていくのに、カウンセリングでも少し時間がかかる場合があります。 その場合は、歯科恐怖症に繋がっている原因や理由をひとつひとつ丁寧に確認していきます。
たとえば「麻酔の注射は絶対にしたくない」 というこだわりかあるとしたら、生育歴のどの部分から影響を受けているのかを探して、その部分にアプローチをして、こだわりを緩めていきます。
完璧主義やこだわりが強いと、「 ~しなければならない。こうでなければならない。 これは絶対に譲れない」 という思いが強いため、 その「ねばならない思い込み」を緩めたり、絶対に譲れない思いの裏には何が隠れていて、 どんな思いがあるのかをカウンセラーと一緒に、こころの内面から丁寧にみていきます。
こだわりがなくなれば、自由度が増すので、 気持ち的にも余裕が生まれ、スムーズに治療を進めていけるようになることでしょう。
まとめ
いかがですか?
あなたが抱えるお悩みに、心当たりのあるものはありましたでしょうか?
その他にも歯を削る音や振動がとても怖かったり、歯医者さんの独特のにおいが苦手な方などがいらっしゃるかもしれません。
治療に前向きになれず、どうすれば良いのか分からないときは、おひとりで我慢し続ける必要はなく、 相談だけでも利用することができます。 カウンセリングを受けることに勇気がいる方もいらっしゃると思います。 その為に、初回ガイダンスも設けております。
まずは時間を取ってお話しをしていただいた上で、カウンセリングを考えてみてはいかがでしょうか?トラウマが解消され、過剰な怖さがなくなれば、治療するハードルが下がり治療しやすくなるでしょうし、感情を抑えなくなり、激しい痛みを感じることがなくなれば、痛みに対する苦痛も和らぎます。 そして完璧主義や強いこだわりがなくなれば、 治療の選択も広がって、 より快適な治療が受けられることでしょう。
痛みの限界まで放置をしてしまい、 更に悪化してしまうと、治療に掛かる時間や体力や費用もかさんでしまいます。 歯医者さんとよく相談をされて、 あなたにとって一番心地良い治療を 進めていけることを切に願っています。
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