歯の治療に関するお悩みは、やはり絶えることがありません。歯医者を選択する場合であっても、情報が限られています。本当に求める治療にたどり着くことも大変です。
実際、歯の治療は、難しいです。なぜならば、歯や歯茎、噛み合わせ、痛みの感じ方、性格は個人差があり、どうしても難しい治療になったり、痛みが取り切れない場合などがあるからです。
固定観念で決めつけてしまうと、それが求められている治療ではなかったり、解決に直結するものではない場合があります。そして、それ以上の診断や治療はしなくなりますし、患者さんは救われないことになります。重要なことは、患者さんの言葉に耳を傾けていると問題解決できることが少なからずあることです。
治療後のトラブルの中で「ものがはさまる」「何度も同じ場所が治療になる」ことで歯の治療に極度の不信感と恐怖を抱くようになってしまった方を紹介します。医療に対する不信感を招いた事例であり、私たち医療サイドはこういった事が起きないように配慮をしなくてはなりません。
治療しても、歯にものがはさまる。何度も同じ場所が治療になる。
数年前、数本の虫歯治療(自費治療)をした直後から治したところが挟まる不具合がある、ものが挟まるからなのか、虫歯が残っているのか不安になっている女性の患者さんがいらっしゃいました。
かかりつけ医に訊いても、治療に問題はない、大丈夫だと言われていたそうです。
挟まるところから虫歯にならないか心配で、3ヶ月に1度は定期検診に行く→途中で奥歯がかけてしまい、1本は治療をやり直した。挟まることとは別に痛みもありました。それでも、かかりつけ医には、定期検診の度にチェックしてもらってもしみないから大丈夫と言われる。だんだん言っても無駄だとわかり、言わなくなったそうです。
だんだんと痛みが強くなってきて、意を決して、セカンドオピニオンを受けたそうです。そこで、虫歯かもしれないと言われたそうです。ここで、他にも虫歯があることを指摘されることになりました。
ここで、ずっと心配しながら自分なりに一所懸命歯みがきを頑張って、定期検診にも真面目に通っていた結果に強いショックを受けたそうです。考えてみれば当然です。定期検診は、歯を健康にするために歯のプロである歯医者に管理してもらうためのものです。見事に裏切られたと感じても仕方ありません。
そこで、自分で調べてみたら、好きなジュースやコーラを仕事の合間に少しずつ飲んでいると、虫歯になりやすいことがわかったそうです。前医にはどうして虫歯になるのか何度も訊いたのに、「どうしてでしょうね」しか言われなかったことが思い出されたそうです。
この患者さんは、ずっと我慢していた不安や悔しさ、腹ただしさが一気に溢れていました。
治療後に歯にものが挟まる原因とは?
上記の女性はなぜ、治療したにも関わらず歯に挟まってしまうのでしょうか?
詰め物や被せ物の調整が甘く、歯と歯の間に微妙な隙間があるまま治療を終えている。
→詰め物や被せ物のやり直しが必要。
治療によって噛み合わせのバランスが微妙に変わり、歯が移動して歯と歯の間に隙間が出来てしまう。
→軽度なものであれば噛合せの調整で元に戻る。挟まったままにしたり、時間が経つと移動した場所で安定してしまうので早期の対処が必要。
歯がすり減って平らになると、挟まりやすくなる。
→歯の形を変える治療(クラウンなどの被せ物)が必要
隣り合う歯と段差があると挟まりやすい。
→ 歯の形を変える治療(クラウンなどの被せ物)で段差を均すか、歯を連結する。または矯正治療。
歯ぎしりや噛み締めがあると歯が揺れるようになるので挟まりやすくなる。
→主にストレスが原因。ストレスの解消が優先。夜間のマウスピース(スプリント)を使う。日中に噛み締めが強ければ、日中用の薄いものも試す。歯の負担が少なくなれば改善する。
樹脂で直接詰める(コンポジットレジン修復)。治療では歯と歯の間の形を正確に作ることが難しい場合があり、挟まる原因になっている。
→コンポジットレジン修復のやり直しが必要
親知らずを抜いた後に手前の歯が親知らずがあった後方に僅かに移動することがある。これは親知らずによって支えられていた力がなくなることと、奥の歯は非常に強い力が働くからである。
→移動した歯の噛合せの調整やマウスピースの使用で改善する。
歯に挟まる原因は、多々存在しますが、ヒアリングを行い、原因を追求すれば、改善できるものも多くあります。
ここで注意しなければならない点は3つ
この患者さんに限らず、以下のような考えになる患者さんがほとんどではないでしょうか。
- 「転院しても同じではないか?だったら経過を知っている治療した先生に見てもらう方がいいのではないか?」
- 「歯の治療はこういうもので仕方がないのではないか?」
- 「自分が悪いのか?」
歯医者を探すのに労力もかかるし、しかも自分にとって当たりなのかがわからないという点で不安を感じてしまい、現状維持のまま不安を抱えてしまう方が多いのではないでしょうか?
セカンドオピニオンとは、今現在の治療が適正であるのか、他の歯医者に相談することを言います。医療を中心に幅広く使われている言葉です。
もし、今現在の治療が適切でないかもしれないと思ったのであれば、遠慮せずにセカンドオピニオンを受け付けてくれる歯科医院に相談し、検査をしてみることをおすすめいたします。歯は、大きく削ってしまえば、戻ることがありません。だからこそ、セカンドオピニオンは有効なのではないでしょうか?