歯を削らなくても白くできるホワイトニングはこの20年ほどですっかり歯科医療に定着しています。特に若い世代から歯を白くしたいというリクエストが多いのですが、これはメディアに登場する人の歯が際立って白いことが少なからず影響している面もあるでしょう。
ホワイトニングはブリーチ(漂白)とも云い、歯に染み込んだ色素を抜くことで白くしています。つまり、長年使った歯は色が染み込んでいるので白くなりますが、若い人ほど染み込んでいませんから、白くなる感じも少くなります。ですので、壮年期以降の方ほど効果を感じられるのですが、「歯が傷みそうで心配」といった声を聞くことも少なくありません。では、実際にホワイトニングで歯は傷むのでしょうか?
ホワイトニングの仕組み
ホワイトニングにはオフィスホワイトニングとホームホワイトニングと2種類あります。その名の通り、オフィスホワイトニングは歯科医院で行うもの、ホームホワイトニングは自宅で行うものです。
ホームホワイトニングの仕組み
ホームホワイトニングはシリコン製のマウスピースを作って、ホワイトニング薬を入れて装着します。マウスピースに覆われているので唾液に邪魔されず、ジェルが歯の表面に触れ続けます。
オフィスホワイトニングの仕組み
ホームホワイトニング薬より高濃度のものを使います。歯茎や唇、頬などに薬が触れなようにガードします。光で薬剤を活性化させて短時間でホワイトニングを行います。薬剤のメーカーによって時間や反応させる薬剤が異なります。
ホワイトニングは歯を傷めないのか?
ホームホワイトニングもオフィスホワイトニングも酸性の程度が違えども同じ薬を使います。メーカー指示通りの使用方法で歯が傷むことはありませんが、知覚過敏などの症状が出ることはあります。また、歯の結晶構造が脆弱になる可能性を考えて、ホワイトング後は歯と同じ成分を含んだ歯磨剤や研磨剤で歯をトリートメントします。
ホワイトング後に歯がしみる場合は?
ホワイトング後に歯がしみるという訴えを聞きます。なぜ歯が傷まないのに歯がしみるのでしょう。
- 虫歯がある 虫歯からホワイトニング薬が染み込むと痛みが出ます
- 元々知覚過敏がある 知覚過敏がある歯に刺激を加えた場合はしみることがあります
- 酸性の食事 柑橘系の果物、お酢、炭酸飲料など酸性のものはしみる場合があります
- 歯茎に傷がついている 歯茎に傷があれば傷口がしみます
- 表面の歯を通り越して内部の神経(歯髄)にダメージが加わった場合
1~4は対応可能です。虫歯の治療、休み休み行う、酸性のものを避ける、傷が治るまで休憩など。5についてはオフィスホワイトニングで高濃度、光のエネルギーが強く長時間行った場合が多いようです。この場合は「いつまで経ってもしみる感じが治らない」という訴えを聞きます。歯髄が知覚過敏の状態を超えて悪化し、慢性炎症を起こして治らない状態になっていることもあります。施術中でも痛みがあれば決して我慢せずに担当者に伝えましょう。
まとめ
- ホワイトニングで歯そのものが傷んだり弱くなることはありません。
- 虫歯や歯周病は事前に治しましょう
- ホームホワイトニング中は酸性の飲食はなるべく控えましょう
- 歯茎が傷ついたら休憩
- オフィスホワイトニングでは痛みが出る前に中止してもらう
以上を守って美しい歯で素敵な笑顔になってください。