転勤を繰り返す人にとって、歯の治療をどのタイミングで行うのかは、悩ましいところです。
治療を開始しても、予想より時間がかかったり、予約が入らなかったりと歯の治療が中途半端になる可能性もあります。
そのため、インプラント治療などを行った場合は、その後のメンテナンスの部分が心配になってきます。
この場合、どのようにすればいいのか?について、当院の考えを示したいと思います。
どうしている人が多いのか?
実際、当院に通院なさっている患者様の中にも、いわゆる転勤族の方がいらっしゃいます。
当院の場合は通院できる期間と回数をお仕事に無理のない範囲で設定します。その中でできることを治療の目標にします。
実際、任期を2年としますと、重度の歯周病も多数の虫歯治療やインプラント治療は十分可能な範囲です。
骨を再建しながらの難しいインプラント治療や、歯周病+矯正治療があると、2年では難しい場合もあります。
治療をしなければ、口内はどんどん問題が増えていきます。
そのため、転勤などを理由に歯科治療を応急処置であってもしなければなりません。
こういったその場限り(期間限定)の治療になる方は決して少なくはありませんが、転勤族でなくともメインテナンスにお見えにならない方がいるのも事実です。
日本人全体に共通することなのですが、歯を健康に保つために定期的に歯医者に通い、メンテナンスを受けようと思っている母数がそこまで多くはありません。
それに対して、転勤族の方でも本当はちゃんと腰を据えて歯の治療をしたい、メインテナンスにも通いたいという方もいます。
忙しいサラリーマンの方はお仕事が優先され、歯の治療が二の次三の次になってしまいメンテナンスまで行き届かず、結局歯の治療に力を入れ出すのは、定年前になってからという方が多いのも事実です。
歯の治療のみを行い、メンテナンスを転勤先で行いたいと言う人もいれば、通院できるようになるまでは上京の時に応急処置だけ受けに来る方もいらっしゃいます。
転勤が決まったらどのような対処をとればいいのか?
もし、歯科治療中に転勤が決まった場合はどのような対処を取ればいいのでしょうか?
治療中の歯科医に対して
まずは、治療中の歯科医に相談しましょう。その場合、以下の対応をお願いしましょう。
・終わらない場合は転勤先からの数回の通院で治療を完遂できるか?
・転勤先で治療やメインテナンスを依頼できる歯科医院を紹介してもらえるか?
・紹介先にX線や歯周病の記録、歯の治療の記録、インプラントメーカーと種類などを提供してもらえるか?
紹介先、もしくは受け入れ先の歯科医に対して
転勤先で、かかりつけ医から紹介を受けた、もしくは自分で見つけた歯科医には、以下の対処をお願いしましょう。 インプラント治療を受けるのであれば、名医と呼ばれる歯医者さんにお願いしたいと思うのは当然でしょう。 しかし、調べることができる範囲でみると、インプラントを何本行ったかという治療実績や書籍発刊、論文投稿 ...
今まで通い慣れた歯科医院と新しい歯科医院の方針や対応が異なる場合があります。
歯科は保険診療と自由診療が混在していることが多く、各々の医院によって提案の仕方が変わってきます。
保険診療でカバーされる部分は保険、それ以外は自費、は基本です。例えばインプラント治療や矯正治療など。
保険診療でカバーされている治療だけれども、材料を変えたり、使う薬剤を変えたり、手技を変えたりということで自由診療になっているものも少なくありません。
虫歯治療であるセラミックや金合金を使った治療がそうです。
他には、予防処置であるメインテナンスについては基本的に自由診療ですが(厚生労働省からの回答書)歯周病であるとの診断がついている場合は保険診療でほぼ同じ診療を行っているようです。
新しい医院でお願いしたことに対して、違った提案が目立つのであれば、セカンドオピニオンで確認した方がいいのかもしれません。
紹介を受けたらからという負い目から自分に合わない歯科医院に通院し、望んでいない自費診療を行うことになることは好ましいことではありません。
望んでいない自費診療で後々に不具合が出たら、その後に新しい問題を抱えることになります。
ストレスを感じやすい方ですと痛みが消えなかったり、不信感から歯科恐怖症に結びついてしまう可能性もあります。
インプラント治療における名医の条件とは?
自費診療中に転勤が決まった場合
自費の治療が終わらないうちに転勤が決まってしまった場合はどうすればいいでしょう。
残った治療やメインテナンスについては、前出の対応で間に合います。「治療中の歯科医に対して」の項目を参考にしてください。
では、治療が完遂出来なかった場合の費用はどうするのでしょう。
転勤に限らず入院や留学など通院が中断や不可能になる可能性はだれでもあります。
自費診療は患者さんと歯科医院の自由契約ですので、こういった場合にどうなるのかは書面で取り決めを交わしておくことが必要です。
書面を提示されない歯科医院もあると思いますが、本来は書面で取り交わしておくべきものでしょう。
当院では治療の進行度によって費用のご精算を行う形を取っています。
ご請求する場合もあればご返金になる場合もあります。
現実問題の歯科治療
歯がボロボロ、歯周病がひどすぎるなどのよほどの口内環境でなければ、1〜2年で歯の治療自体は、十分満足な域までで行うことが可能です。
働き方や、勤務時間によっては歯医者にいけないなどの悩みをかかえてしまっている人が多いでしょう。そのため、結果的に口内環境が悪化し、大掛かりな治療が必要になってしまう方も多くなります。
幸いなことに、きちんとした歯科医院ほど完全予約制です。医院の空いている時間とご自身の都合が合えば、計画的に通院することも検討出来るのではないでしょうか。
なかなか難しいことだということは重々承知なのですが、定期的に時間を作って早いうちの治療、そして予防的なメンテナンスをすることをおすすめします。