大人の8割が罹る歯周病と戦うために8つの原因を知る
歯周病には歯肉炎と歯周炎がありますが、成人の8割が罹ると言われています。近年では心筋梗塞や糖尿病など身体との関係性も研究が盛んになってきています。骨が溶けてゆく歯周炎はかつては歯槽膿漏と呼ばれていました。重症になるまで自覚症状がほとんどないことも歯周病の怖いところです。ずっと自分の歯で美味しい食事を楽しみたいですよね、それでは先ずは歯周病の原因を知ることからはじめましょう。
1-1 歯周病の大元の原因は歯垢
歯周病の原因は歯垢です。細菌は歯に残った食べかすをエサにして増えます。この時にネバネバした物質を出して、その中に隠れながらどんどん増えていきます。これが歯垢です。歯垢の中の細菌は毒を撒き散らしていきます。歯垢のネバネバは台所の流しのあのネバネバと同じです。歯垢はこの細菌が作りだしたネバネバ(バイオフィルム)で、強固に歯にへばりついていますので、こまめに歯ブラシで取らないと何層にもなってしまい歯ブラシだけでは剥がれなくなります。歯周病に薬が効きにくいのは細菌が歯垢のネバネバの中に薬が届かないからです。
1-2 歯石は歯周病の直接の原因ではない
歯周病の治療では歯石を取ります。実は歯石そのものは唾液中のカルシウムが歯垢と結合してできたもので、毒性はありません。歯石は珊瑚のように穴がたくさん空いており、小魚が穴を住処とするように歯垢が穴に入り込んで繁殖の足場となります。歯垢の住処となるために歯石は早い内に取って、ツルツルの歯を保つことが大事です。歯茎の縁についた歯石は黄白色をしていますが、歯茎の中=歯の根の表面についた歯石は血液成分を含むため、黒くなります。
1-3 免疫力(抵抗力)の変化に左右される
歯周病の進行は体の免疫力に大きく左右されます。歯周病の進行は細菌がいれば進むという訳ではなく、体の免疫力=抵抗力と密接な関わりを持っています。人は20歳ごろが免疫力のピークでその後は下る一方ですが、40歳、50歳(更年期)など節目の年や大病をした時などは免疫力が下がる事が多く、急速に進行することがあります。ストレスや寝不足による免疫力の低下も進行を早めることになるでしょう。
1-4 歯周病は遺伝する
歯周病は癌や血管系の病気と同じように遺伝します。同じ磨き残しから歯垢が出来ても、遺伝的には発症しやすい人と発症しにくい人がいます。虫歯と同じですね。親兄弟、親族に早くに歯を失っている場合は、要注意です。
1-5 歯周病には種類があり、原因菌も異なる
1-6 歯周病原菌は人から人に伝染る
歯周病は伝染るのか?という質問を受けます。ある研究では夫婦間で同じDNAを持つ歯周病原因菌が確認出来たとしています。どの程度で伝染るかはわかりませんが、虫歯菌が親から子へ伝染るように大人同士でも歯周病原因菌は伝染るようです。お互いにお口の中は清潔に保ちたいですね。
1-7 噛みあわせも歯周病の進行に関わる
重なりあって磨きにくい歯並びは歯垢が溜まりやすく歯周病を引き起こしやすくなります。噛み締め(食い縛り)や歯ぎしりなどは歯に過剰な力が加わり続けます。過剰な力で歯がグラグラすると、歯を支える靭帯(歯根膜)の抵抗力が落ちるため歯周病は進行しやすくなります。一番奥の歯や前方の歯でも強く当たっているような歯は注意が必要です。
1-8 タバコは歯周病の一番の敵
タバコはお口の中でも百害あって一利なしです。ニコチンは血管を収縮させるため、歯茎や歯を支える組織の血の流れが慢性的に悪くなります。歯茎はコラーゲンを多く含みますが、長年タバコを吸い続けた方の歯茎は真っ黒で血が通っていません。肘や踵の角質のような歯茎になってしまい、歯周病が発症、進行しやすく、そして治りません。私たちの身体のケガを治すのは自分たちの身体なのです。それは血の流れなのです。
まとめ
歯周病は歯に歯垢がつかなければ発症しません。かみ合わせが悪いから、齢を取ったから、親が総入れ歯だから、なるのではないのです。日々の丁寧なブラッシングと歯科医院での拡大鏡や顕微鏡を使った精密なメインテナンスクリーニングを行うことが最大の予防になります。