歯周病の原因菌を調べることで治療に役立てることができます
歯周病はどうしてなるのか?
歯周病はお口の中の歯周病原因菌では歯を支える骨や靭帯が破壊されていく病気です。つまり、細菌感染なんですね。破傷風の破傷風菌と同じです。ところが、歯周病は原因の歯周病原菌がいる=歯周病になるとは限りません。細菌の棲家である歯垢が数日歯に付いていたからって骨は溶けません。歯周病は免疫や細菌の種類、口腔内の環境によって発症や進行の個人差がとても大きい病気なのです。つまり、歯周病原因菌がいます=歯周病です、とはならないのです。ではどうやって歯周病かどうかを見分けるのでしょう?
歯周病の原因は? 歯周病を治すには?
歯周病かどうかを見分けるにはどんな検査が必要か?
歯周病の検査には以下のようなものがあります。
・歯周病チャート(歯周ポケットの深さや、出血の有無、歯垢の付き具合、歯の揺れ、など)
・X線写真(当院では14枚+特大1枚)
・お口のカラー写真(当院では12枚)
・噛み合わせの検査(模型や筋肉・関節の触診、かみ合わせのズレなど)
・問診(喫煙の有無や家族歴、治療歴など)
・細菌検査(歯周病原因菌の特定)
↓は細菌検査のレポートです。
以上は当院で行っているものです。これらをすべて総合的に判断して、健康なのか、どの歯がどれくらいの歯周病なのか、などを診断します。
歯周病の原因菌を調べる理由は?
- 悪玉菌5種類の数を調べることができ、どの菌がいるかで歯周病の程度や進行具合、治りやすさの予測、治療の効果判定などに利用できます。
- 慢性歯周炎の原因菌の中でも特に悪い菌3種の数がわかります。(P.gingivalis、T.denticola、T.forsythia)
- 侵襲性歯周炎という若年者から急速に進み、進行を止めにくいタイプの原因菌の数がわかります。(A.actinomysetemcomitans)
- 思春期、妊娠性の歯周炎の原因菌の数がわかります。(P.intermedia)
通常、進行度と原因菌の数は比例しますが、少なくても病状がよくないなら、免疫が下がっているのではないか?と考える事ができます。この場合は栄養管理や睡眠など身体全体のアプローチを行います。また、侵襲性歯周炎は若い内に発症し、通常の治療だけでは進行を食い止めることが難しく、抗生剤の併用を行う場合もあります。これも細菌検査をしなければわかりません。
まとめ
・歯周病は歯周病原因菌が理由だが、様々な因子が関わっている
・様々な因子を検査することで、病気の状態を正確に把握することができる
・細菌検査は悪玉菌を特定でき、治療に応用できる
・特に侵襲性歯周炎は細菌検査による判定が重要