北川デンタルオフィスの北川です。
歯科恐怖症、歯医者が苦手、治療が滞っている方が多く来院する当院ですが、歯医者が怖いからといって歯の痛みや異常を放置し続けることがリスクであることは間違いありません。リスクとは将来的に問題が大きくなり、解決しにくくなるということです。
「最近、ちょっと歯が痛い・・・」「歯茎が下がってきたな・・・」
そんな小さな悩みであっても、原因を知るのは自分ではできないことです。当院のブログを見て、参考になるといいのですが、実際は個々人で原因や対応方法は違ってきます。
ちゃんと話を聞いて、その原因を追求してくれるような歯医者の主治医がいて、その人に原因を探してもらうのがいいでしょう。パソコンの調子がおかしければ電気屋に、肩や腰の様子がおかしければ整骨院に出かけますよね。
今回はよく「歯茎が痩せてきたのは老化ですよね」と言われるので、本当のところ、「歯茎が下がってしまうのはどうしてなのか?、放置するとなにがいけないのか?」を解説します。
「実は歯茎が下がっている」ことは歯にとって重大な問題なのです。
「歯茎が下がる」原因は何か?
歯茎が下がることについて悩みを抱えている人は少なくないと思います。
この現象は、いわゆる歯茎が歯の根元に向かって減少している状態です。
この現象の原因は、生活習慣にもあります。原因が理解できていなければ、放置すれば当然その生活習慣は繰り返されますので、いずれ歯の痛みや虫歯、歯周病の進行、など歯の寿命を短くする問題を起こします。
歯茎が下がる原因その1 歯ぎしりや噛み締めの癖
歯ぎしりや噛み締めでなぜ歯茎が痩せるのか?
歯ぎしりや噛み締めは歯同士が無意識で非常に強い力(体重の約2倍の力)が持続的にかかります。
寝ている時だと浅い眠りは、睡眠時間の約半分です。この時、歯同士がぶつかる歯の表面は直接強い力を受けますが、歯と歯茎の境目あたりに歪みの力(応力)が伝わることが分かっています。
例えるなら、地面に打った杭を揺する状況をイメージしてみます。揺する時に杭を持っている所ではなく、地面との境目あたりの杭がしなって、最後には折れます。
歯と歯茎の境目の歯にはこういった歪みの力がかかります。この結果、ミクロの世界では歯の首の部分(歯頚部)の歯質が刃こぼれを起こすようになり、次第に欠けていきます。歯茎は歯に付着していますが、付着している肝心の歯が刃こぼれを起こして削れてしまえば、歯茎は付着できません。
結果として歯茎は下がる(痩せる)しかありません。
歯茎が下がる原因その2 前歯が当たらない(当たりが少ない)噛み合わせ
私たちの歯には奥歯と前歯があります。前歯は長くて奥歯は短いのが一般的です。
前歯は噛み切るため、奥歯は磨り潰すためです。噛み切る前歯は噛み切れるかどうか、センサーの役目を持っており、力加減を調節する機能がとても鋭敏です。
それに対して、奥歯は強く磨り潰すのが仕事ですからセンサーが鋭敏ではとても強い力が出せません。つまり前歯に比べると感覚は鈍くできています。
噛み合わせも人それぞれです。前歯が深く噛み込んでいる人(下の前歯が見えない)、前歯の噛み合わせが浅い人(下の前歯の大部分が見えます)、上下の前歯の間に隙間がある人、など様々です。
前歯が当たらない、当たりが少ない人は、元々前歯が持っているセンサーの機能がうまく発揮できない状態ですので、奥歯で食べています。奥歯のセンサーは鈍いため、知らず知らずのうちに強い力で噛んでいることになります。
歯ぎしりや噛み締めと同じように歯に過重負担を強いている状態であり、同じように歯の根元が刃こぼれを起こして削れ歯茎が痩せていきます。特徴としては、前歯は当たっていないと前歯の歯茎は痩せず、当たっている奥歯のみ痩せていきます。
歯茎が下がる原因その3 間違ったブラッシング方法
かつてはブラッシングこそが歯茎が痩せる主な原因と言われた時代がありましたが、今では噛みあわせが主たる原因と言われています。
ですが、硬めの歯ブラシや必要以上に強い圧力をかけてゴシゴシ歯を磨けば、薄い歯茎とその下の骨は退縮します。
個人差が大きいのですが、表側の歯茎と骨は、想像以上に薄く繊細な場合があります。コマーシャルや歯医者さんのHPで歯と歯茎の隙間めがけて斜め45度でブラシを当ててマッサージしましょうと謳っていますが、これは歯茎を痩せさせやすいブラッシング方法です。歯と歯の間に向けて90度(真横)かやや歯の先端に向かうような方向に歯ブラシをあててブラッシングを行う事が望ましいと考えています。
「歯茎が下がる」現象を放置するとどのような症状が発生するのか?
「歯茎が痩せる」ことはどんな意味を持つでしょうか。歯茎が痩せると歯根が見えるようになります。歯根は象牙質ですので色が違います。歯が長くなり、象牙色の歯根が見えている状態は見た目に良いとは言えません。歯周病で歯茎が痩せた、人によっては老化をイメージします。
歯根が見えていると虫歯になりやすくなります。歯の頭を覆うエナメル質は皮膚の変わりです。歯根の象牙質は筋肉や骨といった体の内部にある組織と同じ仲間です。
酸に弱く、間違えたブラッシングで削れやすいのです。内部には歯髄(歯の神経)を含みますので、冷たいものや熱いもので歯がしみる(知覚過敏)原因になります。
歯周病はどうでしょうか。そもそも歯茎が下がる(痩せる)ということは、その下にある歯を支える骨(歯槽骨)も一緒に下がって(痩せて)います。
歯茎だけ下がったら骨がむき出しになってしまいます。つまり、歯茎が痩せるということは歯を支えている骨も痩せてしまうということです。
歯周病でなくても骨がなくなっていくのです。歯茎が下がれば歯と歯の間に食べカスが溜まりやすくなります。歯垢や歯石が付きやすく虫歯や歯周病のリスクが高まります。食事中に食べカスを気にすることも出てくるでしょう。歯根が露出していくと大臼歯では歯周病が進みやすくなります。大臼歯は歯根が2~3本あります、歯の根が分かれて(分岐して)いるのです。
歯茎が下がって歯根の分かれ目(分岐部)が露出すると、食べカスが引っかかりやすく、ブラッシングで磨きにくくなります。磨かなければ虫歯や歯周病のリスクが増しますし、一生懸命磨けば歯茎が下がりやすくなります。メインテナンスが難しい状態と言えます。
歯茎を健康にするためには?
歯茎を健康に維持するには、食後すみやかにブラッシングをして食べカスをとって歯垢や歯石を付けないようにします。食後すぐは歯が削れるという説はメディア受けしますが間違いです。
年に3回は信頼できる歯科医院でプロに磨いてもらいましょう。ちなみに、真面目に通院していた方でも当院で調べると多くは歯周病や虫歯が放置されていたりします。歯ぎしり噛み締めの癖は意識して治せません。
意識すると、無意識でさらに強くするようになりがちです。まずは歯科医院で噛みあわせに合ったマウスピース(ナイトガード)を作ってもらい、付けてください。前歯の当たりを多くする矯正治療は選択肢として提案します。これは歯を動かす矯正治療で、やたら削って被せる治療を矯正治療とは言いません。
おすすめの歯ブラシをいくつかご紹介します。歯ブラシは人それぞれ合う合わないが違いますので、色々試してください。歯ブラシを選ぶ条件は「毛先が細い」「毛の硬さは柔らかめか普通」です。歯並び口周りの筋肉の緊張感などでも歯ブラシは変わってきますので、歯医者さんで相談してみてください。
株式会社オーラルケア グッペリ
株式会社オーラルケア ライカブルミニ
ライオン Syutema AX 44M
株式会社GC ルシェロ