2020年に東京オリンピックを迎えるにあたって、日本の歯科界で危惧されている事があります。
それは日本人にヒドイ口臭が蔓延しているのに自覚がないことです。こういう調査結果があります。
オーラルプロテクトコンソーシアムの「在日外国人から見た日本人のオーラルケアの実態」調査では
「今回の調査結果から在日外国人の約7割が「日本人の口臭にガッカリした経験がある」と回答しました。
一方で、日本人の約8割が歯周病と言われているにも関わらず、約9割が「自分は(口臭要因の1つである)歯周病ではない」と回答。口臭の1つの要因である歯周病について、多くの日本人に自覚がないことが明らかになりました。
オーラルプロテクトコンソシアーム「在日外国人から見た日本人のオーラルケアの実態」について調査しました
現時点でもそうですが、歯周病、口臭に関しては憂慮すべき状況です。
以前に、口臭の原因と対策については以下の記事で紹介しました。
自分の口臭はどうなっているのだろう?
実際自分の口臭がどの程度なのか、言われないとわからないから心配ですね。
まずは口臭を客観的に知る方法を紹介します。
1.客観的に自分の口臭がどの程度なのかを知る方法
自分で測る方法と他人に測って貰う方法があります。
1-1.歯科用口臭測定器
揮発性硫化物の量を測る事ができる医療用の器械です。信頼性は高いといえますが、器械が大きく、測定に時間がかかるなど一般の歯医者さんが日々の臨床で使うには難しい部分もあり、どの歯科医院にも置いてあるわけではありません。
口臭外来を謳っている病院や歯科医院では扱いがあるでしょう。
1-2.口臭検知器
日本には、歯医者さんに定期的にクリーニングに通う習慣が少ないせいか、ずいぶん以前から口臭検知器という口臭を測る器械が一般にも販売されています。
最も多い口臭は、主に歯周病由来、歯垢や舌苔由来の揮発性硫化物がその臭いの原因ですが、一般に販売されている器機はお酒やタバコ、うがい薬などの臭いも反応するようです。
あくまで、目安程度にお考えください。
1-3.官能試験(口臭外来など)
基本的にこれが最も簡便で、器械に拾えない臭いも分かるため信頼性もあります。病院の口臭外来で複数の第3者が呼気を嗅いで判断します。
口臭外来では決められた方法で行い、その検査結果は、ゼロ:臭いなし、~6:非常に強いなど、6段階で数値化しています。
1-4.自分で臭いを嗅ぐ
両手の中に息を吐き出して、2呼吸くらいおいてから臭いを嗅ぐ。
紙コップなどの中に息を吐き出して、2呼吸くらいおいてから臭いを嗅ぐ。
そもそも口臭が強い方は自分の臭いに鈍感になっていますからわからないことが多いです。
手の甲などを舐めて、臭いを嗅ぐ。唾液も臭いがするものです。小学校のときの笛やハーモニカを思い出していただければ想像がつくかと思います。
こういうセルフチェックで口臭が気になるのは、実は口臭が少ない方が多く、強い方は意外と自覚されません。そもそも自分で気になっていません。
1-5.家族などの第3者に嗅いでもらう
口臭は中々他人に相談しにくいものですが、家族やパートナー、親しい友人など理解がある方にお願いしてみるのは自分で嗅ぐよりもはるかに正確です。ただし、相手が口臭が強くて鈍感だと難しいです。ヘビースモーカーなども臭い自体に鈍感ですので適しません。
1-6.上記の試験を時間を変えて行う
口臭は誰にもあるものです。ない人はいません。起床時口臭や空腹時口臭など時間で変化するものもあり、食事をすれば治るものも、朝食を抜くことで口臭が続いたままになってしまいます。また月経時口臭はホルモンバランスの変化で起きるものです。
2.口臭がひどかった場合、その後どうすれば良いのか?
うがい薬やブレスケア商品ばかりに頼ることは、原因を取り除いたわけではありません。ヘビースモーカーの車のエアコンは消臭剤を使うとひどい臭いになります。原因別の対策が必要になります。
2-1.生理的口臭
食べ物や歯垢、舌苔などが原因。食後のブラッシングや舌を洗う習慣を身につけましょう。食後は必ず歯を磨かなければいけませんか?という質問をよく受けます。「あなたのパートナーが朝食に使ったお皿を洗わないで、そのままお夕飯のおかずを盛って来たらどうしますか?」それを考えると必然的に磨かなくてはならないことに気づくはずです。
2-2.起床時口臭、空腹時口臭
起床時と空腹時は口臭が強く、決められた時間に食事を取ることは口臭を減らす上でも大切です。しっかりとよく噛んで食べましょう。また、砂糖が入ったお菓子や紅茶やコーヒーは口臭を減らすといわれています。空腹時でも直ぐに食べることが出来ない場合は、ちょっとしたティーブレークを取ることも効果的です。
2-3.月経時口臭
月経時は黄体ホルモンとの関係が強いと云われており、生理周期に伴って口臭が出やすくなる人がいます。しかし、口内に歯垢や舌苔などがなければ口臭は問題になりません。具合が良くない場合もあると思いますが、いつも通り、お口のセルフケアを行っていれば心配ありません。
2-4.病的口臭(歯周病由来)
口臭の原因の最も多いのが歯周病由来です。歯垢や歯石が歯や歯根にこびりつき、毒素を撒き散らし、タンパク質を分解しながら揮発性硫化物を産生しています。速やかに信頼できる歯科医院で治療を受けましょう。
2-5.病的口臭(全身疾患由来)
肝臓の病気や耳鼻科関係の膿がたまる疾患(蓄膿症や膿栓など)は口臭としても感じられます。適切な治療を受けて少しでも病気を治すことに努めましょう。
2-6.仮性口臭
仮性口臭は口臭治療を終えても臭いが気になって仕方がない、身体にはっきりとした原因がないのに臭いが気になっている状態です。これは、メンタルからきているもので、人の目が気になるタイプの方などに多く見られます。日本人は人の目線が気になる国民性を持ってるため、過剰に気になる人がいます。
2-7.原因にあった治療を行う
口臭の原因の大半が口内の歯垢歯石、舌苔などを取れば激減するものです。規則正しい生活と歯のブラッシングやフロッシング、舌を洗うなどセルフケアは必須です。
メンタル由来の口臭は特定の心理カウンセリングを受けることで治ります。
他人に相談することがはばかられる場合は、口臭が心配な自分に訊いてみましょう。「本当は何を感じているの?何が怖い?」など。無意識にある、深層心理が口臭を過剰に不安にさせているのです。無意識は自分ではわかりませんが、自分の真の感情に触れることはできます。リラックスできる場所で試してみてください。
2-8.定期的に検診を行う
口臭の原因の大半が歯周病や歯垢、舌苔で治療が可能なものです。また口臭のない人はいません。お口の中を清潔に保つこと、定期的な歯科医院でのメインテナンスクリーニングを行うことで管理してゆくのが現実的です。口臭をゼロにすることはできませんが、よほど臭いがキツくなければキスをするほど近づかなければ相手の口臭に気づくことはありません。お口も心も定期的にメインテナンスして快適な生活を送りましょう。