乳酸菌のタブレットで歯周病の治療と予防ができます
最近は、薬に頼らず健康でいるために身体の免疫力を上げよう、というニュースをよく見るようになりました。免疫力は成人すると、下降の一途をたどります(T_T)大人の免疫は腸管免疫といって腸がとても大切な役割を果たしています。ですので、ヨーグルトの乳酸菌が良いという話になるのですね。古くはヤクルト飲料のシロタ株や整腸剤のビオフェルミンなども乳酸菌です。このように、摂ることで健康に役立つ微生物の事をプロバイオティクスと云います。プロバイオティクスは善玉菌を増やして健康になろうという考えで、逆にアンチバイオティクスは抗生物質で菌を殺す方になります。プロバイオティクスをを使った予防医学をバクテリアセラピーと呼んでいます。
万人に効果のある乳酸菌はない
さて、そんなに乳酸菌がいいなら、ヨーグルトやヤクルトで免疫力が上がり、花粉症にならなかったり風邪を引かなかったりするのでしょうか。実は、私たちの腸内の菌の種類は人によって様々です。母親から譲り受けた菌種をもっているのですが、ここに新しい菌を飲んで植え付けようとしても中々定着しないのです。これが人によって効果がまちまちの理由です。自分にあった乳酸菌にたどり着くのは中々難しいですね。
歯周病に効果のある乳酸菌の発見
では、お口の中はどうでしょうか。虫歯も歯周病も細菌が原因です。歯磨きをして、清潔に保つことで細菌数は減りますが、元々歯周病の原因菌が多い人は危険です。歯周病菌を減らす事ができれば治療も効果が上がりますし、予防できます。抗生剤を使う先生もいますが、実際に効果があるとは分かっていません。乳酸菌がお口の細菌に効果がある事がわかってきましたが、歯周病原因菌に効果がある乳酸菌が発見されました。ヒトの母乳由来のプロバイオティクスで乳酸菌:L.ロイテリ菌と云います。スウェーデンのカロリンスカ医科大学で研究がされました。
乳酸菌:L.ロイテリ菌は歯周病原菌に効果がある
歯周病は、1種類の細菌が原因で病気を引き起こすのではなく、複数の歯周病菌によって起きる病気です。悪性の歯周病菌が増殖して成長することによって毒素を出して歯を支える骨を溶かしてしまうのです。
お口の中には数百種類の細菌がいます。そのうち、歯周病に関係している細菌は10~20種類くらいと云われています。歯周病にかかると、歯周病原菌は育って増殖します。その数は健康な時の1000倍以上になると云われています。
L.ロイテリ菌は歯周病原菌の中でも悪性度の高い5種類の細菌の増殖を抑えることが報告されています。
そして、お口の常在菌には悪影響を与えません。抗生物質と違って副作用や薬剤の耐性(効かなくなること)もなく継続して摂る事ができます。
乳酸菌:L.ロイテリ菌はピロリ菌にも有効
よく、菌を摂っても胃酸でやられてしまうといいますが、L.ロイテリ菌は胃酸に強い性質があります。そして、ピロリ菌よりも胃壁にくっつくため、ピロリ菌を抑制する効果があることがわかっています。他の乳酸菌ではかえってピロリ菌が増殖したという報告もあります。歯周病だけでなく、胃にも良い効果をもたらしてくれるようです。
乳酸菌:L.ロイテリ菌はアトピーにも効果がある
胃酸に強いL.ロイテリ菌は腸まで届き、腸管免疫を高めます。乳幼児を対象にした研究では湿疹の面積が約半分になったという報告が出ています。腸まで届くことは腸管免疫を高める事になりますので、アトピーのようなアレルギーにも効果があるのかもしれません。
まとめ
- 抗生物質の欠点である薬剤への耐性や副作用がなく継続使用も可能な、体に優しく効果があるバクテリアセラピー
- 数ある乳酸菌の中でもL.ロイテリ菌を使うプロデンティスは歯周病原菌を抑制する
- L.ロイテリ菌はピロリ菌抑制やアトピーの症状緩和も期待できる