初診日当日の治療は緊急に処置が必要な場合を除き、原則行っておりません。
歯科治療は麻酔薬や内服薬による体への影響、治療のストレスによる体や精神面への影響が少なからず生じる行為ですので、十分な診査診断の上で治療をする方針だからです。
近年の医療法改正により、治療のプロセスを表示するために、各種治療方法に考えられる副作用を含むリスクなどを明示する必要があります。まとめましたので、ご確認ください。
歯科治療一般
歯科治療に非常に緊張する方、食事を摂っていない方、睡眠不足や体調がすぐれない方は治療に伴う緊張で血圧の上昇、動悸、貧血、悪心、冷汗などが生じる場合があります。体調の変化や上記の既往がある場合は必ず医師やスタッフまで伝えてください。
歯の治療に伴い高速で歯を切削、研磨する器械を口内で使用します。頬、舌、口唇、口蓋などの軟組織に触れないように十分に注意をしていますが、予期せぬ体動や反射によって頬、舌、口唇、口蓋などの軟組織を傷つける可能性があります。
歯科治療の開口によって顎関節に痛みや開口障害が出る場合があります。日常的に顎が開きにくい、耳の前付近に痛みがある、音がするなどの症状がある場合は治療による開口障害や痛みなどは出やすくなります。また、自覚症状がなくとも顎関節に負担がかかるかみ合わせや無意識の癖(歯ぎしりや噛み締め)によってストレスがかかっている場合も同様です。
麻酔処置
虫歯や歯周病治療で行う局所麻酔は偶発的な副作用(血圧上昇、心悸亢進、脳貧血様発作、手足の震えなど)があります。過去に麻酔で具合が悪くなった経験がある、緊張が強い、恐怖心が強い、高血圧、心臓疾患などをお持ちの場合は必ず医師かスタッフまで伝えてください。
虫歯治療
虫歯の治療は感染した脆弱な歯質を除去して、代替材料で填塞ないしは被覆することであり、歯を元の状態に治るわけではありません。
虫歯治療に続く、詰め物(セラミック、金属、ハイブリッドセラミック、コンポジットレジン)やクラウン(セラミック、金属)は永久的な治療ではありません。これらの治療がどの程度長持ちするかは口内の清掃状態、かみ合わせ、噛む癖(歯ぎしりや噛み締めなどを含む)唾液の量や質、嗜好品など様々な原因が複雑に関与しています。
神経が残っている歯の治療を行うことで、治療後に神経(歯髄)由来の痛みが出ることがあります。治療前に痛みが出ていない場合でも、治療の刺激などで生じることがあります。神経(歯髄)は正確な状況を知ることが難しい組織であり、1〜2ヶ月経っても痛みが消えない場合は神経(歯髄)を除去する必要が生じます。
根管治療
神経を取る治療(抜髄)はラバーダム防湿下で可及的に無菌下で行っても、歯髄の複雑な形状から、歯髄組織が残ることで問題を起こすことがあり得ます。1ヶ月を超えて長期にわたる術後の痛みや違和感が出る場合や根尖病変と呼ばれる根の先や脇に骨を溶かしていく病気が発症することなどがあります。
過去に根の治療が行われている歯で上記の根尖病変が認められる歯の治療があります。(感染根管治療)この治療は神経を取る治療に比べて成功率は下がります。根管が汚染されている期間があること、過去の治療跡が難易度をあげることなどから、複数回の治療を行うごとに成功率は下がります。
根管治療がなされている歯は過重負担を受け続けると歯の根が割れることがあります。(歯根破折)
歯周治療
歯周病の治療は歯垢歯石の除去が主たる治療になります。歯垢歯石の原因である歯垢は日々の生活の中で生じるものであり、患者様の口内の清掃状況によって治療結果は大きな影響を受けます。
歯周炎で失われた歯肉や骨は治療で元に戻るわけではありません。
喫煙は歯周病を難治化させ、その進行を早めます。
糖尿病やステロイド薬の長期服用は歯周組織を脆弱化させ、歯周病治療の成功を妨げます。
インプラント
インプラント治療において、インプラント体と骨との結合率は100%ではありません。
喫煙、糖尿病、ステロイド長期服用、抗がん剤治療、放射線治療などはインプラント体と骨の結合を不確実なものにします。
口腔乾燥症、ブラキシズム(歯ぎしり、噛み締めなど)、清掃不良などはインプラント周囲炎を招くリスクです。
骨粗鬆症に使われるビスホスホネート製剤は抜歯やインプラント手術などの外科処置で顎骨壊死を招く可能性があります。
下顎の臼歯部には骨内に下歯槽管と呼ばれる神経が封入された管があり、インプラント手術で管を損傷した場合には頤部に麻痺が生じます。
インプラント手術は腫れや痛みを伴うことがあります。
インプラント手術、骨の移植手術などは顔面に一過性の内出血斑を生じることがあります。
矯正
歯の移動のスピードは年齢差、個人差が大きく、診断時の予測した期間通りに終わらない場合があります。
歯の移動によって歯根尖が吸収することや、歯槽骨が吸収することがあります。
外科
親知らずの抜歯や難しい抜歯、骨の移植手術などの小手術は、術後の痛みや腫れが生じることがあります。
メインテナンス
メインテナンスは定期的なクリーニングで虫歯や歯周病、インプラント周囲炎を抑制することを目的としていますが、虫歯や歯周病が発生しないことを保証するものではありません。虫歯も歯周病もインプラント周囲炎も食生活とブラッシングなどのセルフケアに依る部分も多いものであります。